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「Zenmuse H20T」の画像処理方法

更新日:11月7日

DJI社の「Zenmuse H20T」は1つの筐体にズームカメラ、広角カメラ、レーザー距離計に加え、640×512画素のサーマルカメラが格納され、「M300RTK」と組み合わせることにより、幅広い分野で利用が可能なマルチカメラとなります。

DJI社の幅広い分野で利用が可能なマルチカメラ

この熱赤外線カメラで撮影した画像はRJPEGフォーマットで出力されているものの、DJI社独自のファイル構造を採用していることもあり、FLIR社がソフトウェア開発メーカーに対して提供しているSDKには対応しておらず、「PIX4Dmapper」の熱赤外線テンプレートで画像処理を行った場合、下図のようにカメラモデルがRGBカメラとして認識をされてしまいます。

Pix4Dmapperの熱赤外線テンプレートで画像処理を行った画面

当社にて指数計算機能を使ってオルソモザイクを作成しましたが、RGBバンドの3バンドから構成されるマルチスペクトラム画像のような処理結果となってしまい、「PIX4Dmapper」の熱赤外テンプレートにある「グレースケール」の演算式を使っても実際の温度にはならず「相対的な温度変化」としか捉えることしかできませんでした。

RGBバンドの3バンドから構成されるマルチスペクトラム画像のような処理結果

さらに「PIX4Dmapper」から出力された値と、DJI社の「Themal Analysis Tool」で示す温度を比較したところ、下図のようにDJI 「Themal Analysis Tool」では、屋根の上の温度が32.2℃を示しているのに対し、「PIX4Dmapper」で出力された値は200付近となり、単純に比例式のような値で変化をしている傾向でないため、指数計算機能のみで補正できないことが分かりました。

「Themal Analysis Tool」と「Pix4Dmapper」のデータの比較

データの比較(左:Themal Analysis Tool、右:PIX4Dmapper)


そこで、当社ではRJPEGデータを直接読み込むのではなく、RJPEGフォーマットのデータそのものを変換した後に画像処理を行うことで、「Themal Analysis Tool」の読み値と誤差が少ない値で熱赤外オルソモザイクを作成することができました。

画像変換を行った後にPix4Dmapperの指数計算機能で処理した結果

画像変換を行った後に「PIX4Dmapper」の指数計算機能で処理した結果



【「Themal Analysis Tool」との温度比較1】

Themal Analysis Toolとの温度比較の画面

DJI 「Themal Analysis Tool」上での温度 =30.8℃


Pix4Dmapperで作成したオルソモザイクの温度分布

「PIX4Dmapper」で作成したオルソモザイクの温度分布 =約30~32℃


【「Themal Analysis Tool」との温度比較2】

Themal Analysis Toolとの温度比較の画面

DJI 「Thermal Analysis Tool」上での温度 =29.1℃


Pix4Dmapperで作成したオルソモザイクの温度分布

「PIX4Dmapper」で作成したオルソモザイクの温度分布 =約29~29.5℃



参考までに上記サンプルデータの撮影条件は以下の通りとなっております。熱赤外線カメラの画像からオルソモザイクを作成する注意点としては、カメラの画素数は一般的なカメラよりも低いため、高いラップ率で撮影をすることが必要となります。 【サンプルデータの撮影諸元】

 対地高度 70m

 オーバーラップ 90%

 サイドラップ 90%


「Zenmuse H20T」を使った熱赤外線画像のオルソモザイク処理につきまして、当社ではデータ変換から画像処理までトータルなデータ作成をご提供いたします。ご興味のある方はお問い合わせ下さい。 【お問い合わせフォームに移動

<謝辞>

今回の「Zenmuse H20T」の画像処理試験にあたり、撮影データにつきましてはDJIドローン正規代理店の株式会社セキド様よりご提供を頂きました。ご協力をいただき誠にありがとうございました。


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